Observe

お金、モノ、人間の心とカラダ、自分自身、etc. 森羅万象を見つめる俯瞰的「観察日記」です。

忘れられない今日という日

一昨日あることを思いついた僕


それを成し遂げようと 朝4時に目を開く


そこから空白があり


身体がベッドから起き上がったのは5時40分


焦りながら急いで浴室乾燥をしていた洗濯ものを取り込み熱いシャワーを浴びる


外はドシャブリなので暖かいファッションと


昨日購入した僕のお客様お薦めの佐藤正午の文庫本「ジャンプ」を鞄に仕込み


そして傘を持ち玄関を出る 意外にも生暖かい風を感じる


計画よりも1時間も遅れてしまい


自宅駅から半蔵門線直通に乗り表参道から銀座線で銀座で降り立ち日比谷線に乗り換えて東銀座駅


7時justに3番出口を出ると そこはすぐに目的地




この建物で歌舞伎を見る計画


そう 本日は千穐楽


駅の出口を出た瞬間に唖然とする僕


既に40人くらいの大行列が2ブロック目に飛び込む


正面向かって右と左に行列があり


僕の身体は何の意図も無く 自然と右側の行列に並んだ



先頭の方の並んでいる人達は屋根が有るが


僕は雨ざらし


傘に落ちる雨の音は周りの音を掻き消すほどうるさい


10分程経過した僕の背中は雨に濡れ


履いているシーンズの後ろ半分と前半分の色の濃さが変わり


このまま椅子に座ったら色落ちするであろうほどに濡れている


足元もまるで水中に立っているほど濡れていて気持ちが悪い


当然ながら持参した文庫本など読んでる場合ではない


8時頃 緑色のブレザーを着た松竹マンが一人出てきた


切符売場あたりで何かを叫んでいるが


雨の音がうるさく 僕の耳には届かない


どうやらごちゃごちゃに並んでいる人達を誘導整理しているようだ


そのお陰で僕は屋根の下に入り込めた


そこで急に不安が襲ってきた


僕は右側のブロックに並んでいるが


右と左の違いは何なのか?


急いでiPhoneでホームページをチェックし


右は一般指定席


左は一幕見席


ということを知る


一般指定席の当日券は約40席


一幕見席は約150席


僕は歌舞伎の演目というよりもこの建物で歌舞伎を見ることが目的だったので


確率的には一幕見席に並べばよかったと後悔し


ココを離れて左側に並ぼうかと背伸びをして左側を覗いてみると


7時の段階より遥かに多くの人々が並んでいたのでまた後悔


8時半頃 手にカウンターを持った松竹マンが先頭の人から見たい部を順に聞いている


そしてその松竹マンが僕の20人くらい前にいた着物を着たおば様に対し


「お客様で切符は完売で〜す」と告げたのが耳に入った・・・


そのすぐ直後 「キャンセル席状況は最後まで未定で〜す」 という言葉が耳に入ったので


僕は並び続けることにした


ひょっとしたら団体がキャンセルしてるかもしれないと淡い期待をしながら待ち続ける僕



すると僕の後ろの方で大声が聞こえてきた


状況を確認すると アングロサクソンのおじいさんと30代後半であろう日本人男性がもめている


さらに状況を確認すると アングロサクソンのおじいさんがいきなり割り込んできたようだ


そのアングロサクソンのおじいさんは英語でまくし立てていて


僕の乏しい英語力でもわかるような言葉をはいて自分を正当化している様子だ


もしその日本人男性が自分の立場だったら 英語でどう攻め立てようかと考えていると楽しくなった


周りの人々はあきらかに割り込んでいるということを周知しており


結局そのアングロサクソンは松竹マンに連れ去られていった・・・


ようやく10時になり 切符の販売が始まる


切符売場が狭いので 数人の塊ずつ中に誘導される


何塊か過ぎた頃


「第3部は完売で〜す」と松竹マン


3部構成になっており やはり最終の3部が人気のようだ


僕は海老蔵さんや獅童さんが出る1部を見たいと思ったが


とにかくなんでもいいから見れればいいと思い直す


人気の3部が完売したと聞いて 立ち去る人が多かった


お陰で僕にチャンスがまわってくる確率が増える


どうやらキャンセルも発生しているようだ


一気に立ち去ったので結構前進した


すると正面玄関付近に辿り着く


正面玄関付近にはかなりのマスコミがいる


僕は一番通り沿いで待たされていたので


かなりTVに映りこんでいると思われる


中には仕事をサボって来ている人もいたようで


TVカメラマンに映すなと怒鳴っている人もいた


アナウンサーが語っている言葉を小耳に挟み


どうやら先頭に並んでいる人たちは2日前から並んでいたそうだ


徐々に切符売場に近づいてもうそろそろ切符売場に入れそうだという頃


「第2部完売で〜す」と松竹マン


残りは第1部の数席・・・


少し前にいたおじさまが松竹マンに「幕見席」の状況を尋ねていたが


幕見席は各部の30分前からしか買えず 第1部は完売間近とのことなので


こっちに並んで正解だったかなと安心した


どうやら幕見席にも2日前から並んでいる人がいるそうだ


そりゃそうだ


この建物における千穐楽なのだから・・・


切符売場に近づく



僕の一つ前の塊が売場に入っていった


全て完売にならないように願う


そして10時半頃 僕の塊の順番がやってきた 塊の中では最後尾だ


切符売場に「切符はお一人様2枚しか買えませんのでご了承下さい」の文字


なんで一人1枚にしないのかと疑問に感じた


ちゃんと並んだ人だけ掴み取れるのが筋だ


そして切符売場に入る


目の前で切符がどんどん捌けていく


よしこの調子で行けば買えるぞと興奮する


一人また一人と購入していくがまだ「完売」の言葉は松竹マンからは出ない


僕まであと2人・・・


買えるか? 来るか? 来るか? 来るか? 来るかぁ?


「はい しゅうりょ〜〜〜〜う」


「ちーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん」


松竹マンが僕の一人前のおじさんの肩を叩きながら


「お客さん 残念だったね」と・・・・・・・・・・


共に戦ってきたそのおじさんの背中を 見ていられなかった


というよりも 言葉に出来ないほどのハートブレイクに陥った僕


プライスレスなものを目の前で得ることができなかった僕


叩いてよ 叩いてよ 僕の肩も叩いておくれよ 松竹マン・・・


もう既に販売終了している切符売場の中で ぽつんと佇む僕


ドシャブリの中 一人孤独な3時間半の負け戦


ぽけーっとしながら切符売場を出る僕


しかも このタイミングで雨は小降りになっている・・・


切符を持っていないとこの建物の中に侵入できないと知っていながら侵入を試み


一歩入ったところで追い出された僕 TVにもしっかりと映りこんでいるはずだ この落ち武者の姿が・・・



ぽっかりすっかり意気消沈  隣にある喫茶店に入り養生をすることに


1階席に座り 深〜くタバコを味わい 哀愁漂う僕


ベーコンサンドを食べ コーヒーを飲む


寒い中3時間半立ち続けていた疲れを癒す


突然尿意が襲ってきてトイレに行くことに


トイレは2階にあるので階段を昇り3段目にきたその瞬間


出てきてはならない腰の悪魔が襲ってきた


寒い中長時間立ち続けていたので とても強力な腰の悪魔だ


4段目に足を上げることができず フリーズする僕


先に昇っていた女性のパンツを覗いているかのように誤解を招いてしまっている僕


店員に変な目で見られる僕


オシッコをしたいのに階段を昇れない僕


手摺につかまり腰を抑えながらようやく昇りきった落ち武者


あぁ・・・ かわいそうで仕方が無い・・・



しばらくその喫茶店で休み そうだ銀座に一人で映画を観に行こうと思い立つ


観た映画は「アリス・イン・ワンダーランド


こんなメルヘンチックな映画チケットを一枚買っている落ち武者の姿は


恐らく哀愁が漂っていたに違いない・・・


先にチケットを買い


腹が減ったので いつもよくいく銀座の鳥どりへ


大好きなここの親子丼に癒してもらうことにした



何故大好きかって?


味が美味しいのはもちろんのことですが


ここの親子丼は玉ねぎが入ってないのです


あぁ 美味くて癒される・・・


この店は靴を脱ぐ店なので


僕が歩いた跡は 落ち武者の足跡がペタペタと残されている・・・



そして映画へ


トーリーはあまり面白くない


大好きなジョニーデップもメイクをしているのでいまいち伝わらない


赤の女王はかわいいなと思った


一番印象に残ったのは映像の美しさと3D映像だ



アバターは2Dで観たので 3Dは初体験


一人で興奮して 何とか午前中の悪夢を和らげた・・・




もう 今日という日は忘れられない思い出の一日になった


ちゃんと4時に起きてればとか


あと1本だけでも早い電車に乗れていればとか後悔しても


もう消えてなくなってしまう歌舞伎座


一歩だけは踏み入れたから 「昔の古い歌舞伎座に行ったことがある」と堂々と言える


と自己満足催眠をかける僕




こんな最悪な日を過ごし


肩を落としながら歩く帰り道で買ったBIGは


次の日曜日には6億円に化けている事に違いない・・・