Observe

お金、モノ、人間の心とカラダ、自分自身、etc. 森羅万象を見つめる俯瞰的「観察日記」です。

34歳、国内一人旅。14日目。

始発から少し遅れで石川県へ出発。


金沢を経由し、穴水へ向かい、そこからバスで輪島へ。


さらに輪島からタクシーにのり、本日のメイン目的地、


能登半島の日本海に面する、世界農業遺産、白米千枚田へ。


観光地なのだが、平日だからか、


観光客は一眼レフを首にぶら下げバックパックを背負っている私一人だけ。


視界に入ってくる人と言えば、田んぼ仕事をしている農家の人が一人いるだけだ。


こんな遠く離れた地に、ほぼ一人。


小雨が降り、寒い。日本海の荒々しい波が、寂しさを加速させる。


いま、日本海を渡ってきたどこかの国の工作員に連れ去られても、恐らく誰にも気付かれないことだろう。


しかし、この寂しさが、安堵の感をもたらす。


何故だろうか。


荒々しい日本海を見つめながら、しばし考えた。


そうか、この途方もない寂しさが、逆に「生」を感じさせ、


生きていることを実感させる。


まるでスイカに塩をかけると、甘さが引き立つように。


だから安堵するのか。


寂しさも、心地良いものだ。





遠く北朝鮮方面には夕陽が沈み、ロシア方面の水平線は恐いくらい深い群青色。


日本海に面し、1,004つの水田が、美しい景色を与えてくれる。


過疎化が進み、農家は3家しかないそうで、不動産小口証券みたいに、


田んぼオーナー制度がとられているそうだ。


全てタクシードライバーに教わった。


海まで実際に下ってみたが、かなりの急斜面で、


バックパックを背負っての登りはキツかった。


こうやって米を作ってくれている農家のかたに感謝。


ここでも自然のエネルギーを吸収できた。


それにしても身体が冷えた。


思えば今回の旅ではまだ温泉なるものに入っていない。


今夜の宿は、和倉温泉にとっている。


また、今回の旅では、特に「食」にもピントがあっていなかった。


このタイミングで、「温泉」「食」を堪能してみよう。


なんでも、この地ではナマコが有名だそうで、


日本三大珍味といわれている、ナマコの卵巣「干くちこ」を食べてみた。


あぁ、酒もうまい。イクラ丼もうまい。


そして温泉。


寒い夜の露天風呂から見える月からは、


ドライアイスのような白くて清潔な煙がでており、


その煙を深く吸い、身体に充満したところで長く吐く。


高野山で教わった呼吸法を行い、


私の身心は大自然と一体化し、


深く眠りにつくのであった。