僕がコンサルティングさせて戴いている地主様のところの借地人様に対し地代増額請求をしたところ「借りてる私道部分(←地目が公衆用道路なので固定資産税0円)に関しては地主様も支出がないんだから自分に対しても無償で貸して欲しい」とご要望が入った。そう言いたい気持ちはわかるが、それはできない。
例えば、
Aは福沢諭吉が描かれた銀行券を手に握りしめている。その券(←つまり”モノ”)を所持しているだけでは課税されない。
B:おい、いまちょっと手持ちがないから、お前が握りしめてる諭吉1枚を俺に貸してくれ。1ヶ月後に諭吉1枚返すからさ。
A:貸すのはいいけど、返す際には諭吉1枚に加えて野口さん1枚を俺のところにもってきてくれ、そしたら貸す。
B:おいおい、そんな冷たいこと言わないで貸してくれよ、ちゃんと返すから。
A:だったら貸さないよ、よそ行ってくれ!
例えが適切じゃないかもだけどなんとなくこんな感じ。所持しているだけでは経費がかからないモノであっても、モノを貸すにあたってそれに見合う対価(←つまり賃料や利息)を請求することは資本主義では当然なこと。
でも借地人様の気持ちもわかるし、地主様の気持ちもわかる。”三方一両損”の噺で有名な大岡越前ではないけれど、人間の欲望と欲望の間に立ち、落とし所を探して話をまとめる。それがこの仕事の醍醐味。
*落語の“三方一両損”は大工と左官の江戸っ子な感じを楽しめる面白い噺です。特に桂小金治師匠の三方一両損がお薦めです。聴いたことがなければ是非。マクラは長めですけど笑