Observe

お金、モノ、人間の心とカラダ、自分自身、etc. 森羅万象を見つめる俯瞰的「観察日記」です。

宝物

昨日の地主様のところへ


あんなに元気だった方が病床にいる


呼吸機が痛々しい


でも笑顔は健在だった


僕も笑顔で返す


死んだわけではない


心配したり悲しい顔したりするのは逆に失礼かと思い


普段通り明るく振舞う


持参した花が病室を明るくする




病室での筆談


声が出ないので震える手で書かれる文字


そこには


「ありがとう」 「ありがとう」 の文字が書かれる


そして


「こんな身体になってしまい 一緒にゴルフに行けず残念だ」


という文字も書かれる


約束を果たせないから申し訳ないということを伝えたかったのかも知れないが


僕との約束に気を遣ってくれていることにとてもやさしさを感じた


自分は病床にいるのに


僕のことを気遣ってくれるやさしさ




ご家族は不動産のことには一切関与されていない家なので


「宜しく便宜をはかってください」との文字にも


家族へのやさしさを感じるし


僕を信頼してくれていることを感じる




震える手との握手は 温かかった




今回の僕のミッションは


少々気難しい隣地の方へのわずか4坪の売買




本来 この地主様は不動産取引に精通されている方なので


当事者同士個人間で売買する話だったので僕は手をひいていたところ


あれから約半年が経過し


身体を動かすことができなくなり


困ったときに僕を頼ってくれた




困ったときに頼ってくれるというのは


僕にとっては有り難いことであり感謝すべきことであり


このご縁は宝物だ




信頼してくれたお礼とそのお人柄に


僕はお礼として


破格の報酬額で引き受けることを伝えると


側にいらっしゃた奥様は気が引けていらっしゃったけど


ご本人様は素直に喜んでくれ


僕のお礼の気持ちを受け入れてくれた




震える手で筆談したスケッチブックの紙を胸ポケットにしまい


プロとしてキチンとした取引を完了することを誓い 病院を後にした




いくら精通しているとは言え


一般の方には不動産取引は大きなイベントごとであり


それなりの心労もかかる


他の事にも多々ご心配事は多いでしょうが


僕は僕の分野で できる限りの安心を提供して


早く良くなってもらいたい